その昔。「竜ヶ井」と呼ばれた井戸(現岡崎城のすぐ隣にある)に、岡崎城の守り神である竜が住んでいたらしい。昔、岡崎城のあった辺りの山は、常に霧が立ちこもっており、うっそうと生い茂る樹木の陰に、この井戸はあったそう。西郷氏がここに城を築いたおりに、柳の五つ衣に紅の袴を身につけた美しい乙女が、城の天守(実際には、当時天守閣はなかったのだけど、伝説だからね)に現れ、城主に向かって「我はこの地に久しく住む竜神なり。汝、我を鎮守の神としてあがめれは、永くこの城を守護し、繁栄不易たらしむべし。」というと、城中の井戸水が天高く噴き出した!そして黒い雲が舞い降りてきて天守閣を包むと、たちまちにして竜神の姿は消えてしまったという。
西郷氏はこの不思議なできごとに驚き、竜神を祀り、城の名を「竜ヶ城(「りゅうがじょう」とも「たつがじょう」とも読む。岡崎城の別名)」、井戸の名を「竜ヶ井」と称したという。
見目うるわしき乙女の姿をした竜神が住んでいたとされる「竜ヶ井」。
<出典:『小牧山』(小牧中学校 昭和30年9月1日発行)> |