さて、東京の玉川上水・金沢の辰巳用水・静岡の箱根用水はその難度や規模から日本の三大用水と呼ばれています。これらはまた、江戸時代に作られた極めて大規模な用水という点でお互いによく似ています。
玉川上水は、大河である多摩川に取水口を設け、新宿大木戸(現在の新宿御苑の東端)まで四十三キロメートルにも及ぶ開渠(かいきょ)の用水と、その後の江戸市中に網の目のように張り巡らした石樋・木樋のネットワークで有名です。
辰巳用水は、犀川の上流部から取水し、約四キロメートルのトンネルと八キロの開渠の用水路で金沢城内に水を引いていました。 必要な水量や流速を得るための細やかな技術が随所に見られ、いったん12m落ち込んだ水が城内で8m駆け上がる逆サイフォンの原理と呼ばれる原理を日本で最初に用いているといわれます。
箱根用水は、静岡県東部にある裾野市近在の灌漑用の用水として、箱根外輪山の両側より約一.七キロのトンネルを掘って芦ノ湖の水を導いて作った用水でした。峠の西と東から掘り始め、固い岩盤を避けながらジグザグに掘り進み、峠の直下付近でわずか1メ−トルの誤差で出会っています。
いずれも当時としては巨大な工事です。このように大規模な工事が必要な用水に対し、河川の分流の一つを用水に転用する形で比較的早い時代に作られた用水もあります。庄内用水はそうした初期の用水の一つです。 |
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