河西和信さん、66歳。今、彼は非常に充実した毎日を過ごしているという。

「定年を迎えるのが、待ち遠しくて、待ち遠しくて」「今は、新しい発見の連続ですよ」と笑う河西さんの目は、まるで少年の様だ。

誰にでもある、少年時代に夢中になったこと。河西さんの場合は、カメラだった。時代がそうだった。カメラへの憧れが、非常に強い時代だった。サラリーマンの給料の何ヶ月分にも値する高嶺の花。それが、更に憧れを強いものにさせた。二眼レフを買ってもらった。毎日、磨いた。少し才能もあった。修学旅行で行われた写真コンテストで、河西少年の撮った写真は、一等賞を取った。常に持ち歩き、故郷の美しい景色を撮った。家族を撮った。友人を撮った。

それが撮れなくなる日が来るなんて、考えたこともなかった。

河西さんが出してきてくれた古いアルバム。そこには、河西少年が撮った写真の数々と50年間閉じ込めてきた思い出が、詰まっていた。今だから、こういうものを見る気にもなれる。あの頃の思い出に浸る気にもなれる。それは、怒濤の時代を生き、常に第一線で活躍してきたという、「誇り」があるから。

定年を迎えて6年目。河西さんが手にするのは、デジカメ。「お金がかかりませんから・・・」と笑う。操作する手は、どこかぎこちない。「なかなか機能を上手く使えないね」と言う河西さんは、なぜかとても生き生きしている。

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