彼女には今、夢中になれるものがある。そのおかげで病気もしないし、毎日が充実しているという。それは、火と土が織りなす芸術、陶芸。土に触れ、丁寧に形づくり、色を塗り、火を入れる。「毎回、出来上がってみないと分からないのが、陶芸の最大の魅力」と言う水野さんの作品には、彼女の生き方が盛り込まれている。人生を豊かにいきる術がそこにあった。
水野さんは、8年前から陶芸教室に通っている。週に1回、およそ3時間、作品作りに没頭する。それが、水野さんにとっては「至極の時間」。

2人の子供を育てながら仕事をしてきた。自分の時間を持つなんて夢のような話。50歳を目前に控え、ふと気付くと少し時間に余裕ができていた。「今やらなくちゃ」そう思って、学生時代の趣味だった油絵を始めた。これまでの時間を取り戻すかのように没頭した。得意としたのは、裸婦。「生きている」という魅力が裸婦にはある、と水野さんは言う。

絵画に没頭する水野さんに知人からの誘いがきた。「知り合いが陶芸教室を開くから行ってあげてくれない?」始めは少しだけ行って直ぐやめるつもりが、いつしか絵画よりも陶芸に夢中になっていた。

水野さんは陶芸の魅力を「自分の力だけではどうしようもない、焼きあがってみないと分からない偶然にある」と言う。彼女の作品は、その偶然を面白がり、土と触れ合う喜びに満ち溢れている。「好きなことに没頭する」ことによって得た「至極の時間」。そこには、人生を豊かにするヒントがあった。

取材協力

陶芸教室
黒窯(くろがま)
http://www.kurogama.jp/